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[長久手タイムズ]となりのトトロの時代のクルマ【トヨタ博物館(3)】

「となりのトトロ」の冒頭部分にはクルマが2台登場します。一台は今や懐かしい引越し用のオート三輪車。もう一台もノスタルジーいっぱいのボンネットバスです。ボンネットバスは、トトロが初めて現れる直前、サツキとメイが仕事から帰るお父さんを待っているときにも登場します。それほどにボンネットバスは、「となりのトトロ」の昭和初期の空気感を演出しています。
1950年代には三菱、いすず、日野、トヨタのボンネットバスが全国各地で走行していましたが、「となりのトトロ」に登場するボンネットバスは、その形状から「トヨタ FS型 ボンネットバス」と推測されます。ボンネットのスタイル、縦長のラジエターの形、ナンバープレートの位置、フロントライトの位置、フロントガラスの形などが、他のメーカーのボンネットバスとは明らかに異なっています。「となりのトトロ」を再び鑑賞される時、ボンネットバスに注目してみてください。

クルマ館の正面すぐ横に、懐かしいカタチの乗り合いバスが置かれています。昭和38年(1963年式)の「トヨタ ボンネットバスFB80型」です。ドアが開けてあり乗車することができます。
子供たちは好奇心から、大人はノスタルジーさから皆が珍しそうに乗り込んでいきます。
このかたちのバスは戦前からのデザインで、昭和40年代になるまで全国各地で運行されていました。ご年配の方は記憶の中のバスです。昭和20年代後半も昭和30年代初期も、全国各地で運行されていたバスはこのスタイルに近いボンネットバスです。

このボンネットバスの乗車定員は51名。全長8m22cm。最高速度90キロ。エンジン形式は水冷直列6気筒O H V。椅子は現在と違って最後部座席を除いて全て横向きでした。ノスタルジー満載の座席で、今でも地下鉄や在来線の列車、チンチン電車はこのスタイルになっています。運転手さんの他に制服を着て帽子を被り黒い鞄を首からかけた車掌さんがいましたね。バスに乗り込み着席するとその場所にやってきて、「どちらまで?」と聞いて紙の切符にカチャカチャと穴を開けて手渡してくれていました。私も子供の頃よく遊びましたが、バスの切符セットは子供たちの楽しい玩具の一つでした。

当時モノの積載し運ぶのに最も使い勝手がよかったと言われるトヨペットスタウトRK35型(昭和29年)。となりのトトロの冒頭、引っ越しシーンで家財道具が満載されたシーンが登場したような、、、、、この四輪トラックではありませんね。

昭和30年代、安くて便利、軽免許で乗れたことから爆発的ブームとなったダイハツ・ミゼット。三輪小型トラックのスタイルから、「となりのトトロ」の冒頭に登場する引っ越しで用いられている三輪トラックとたまに間違われる。「となりのトトロ」の時代設定ではまだ発売されていません。

こちらは昭和34(1959)製TOYOACE。昭和29年に登場した小型四輪トラック。ダイハツなどのオート三輪から四輪に転換する画期的な小型トラックとして人気を博した。モデルチェンジしながら2020年まで生産され続けた。

「となりのトトロ」は地方の田舎のシーンなので当時のクルマ社会は描かれていませんが、TOYOPET「MASTERLINE」は1956年発売で都会ではかなり走っていたクルマです。SUZUKIの「SUZULIGHT」も1957年(昭和27年)で時代的にはほぼ同じ頃の大衆車です。

昭和39年製トヨペット・コロナと昭和34年製スバル360。もう少し時代が進むとこうした大衆車が都市のみならず地方都市でもよく見かけるようになっていった。

トトロの時代からわずか10余年、1965年に日本最初の高速道路「名神高速道路」(兵庫西宮〜愛知小牧の区間)で開通。小牧ICと吹田ジャンクションの名神高速は、「アジアハイウェイ1号戦」に指定されている。
東名高速の全面開通は1968年。モータリゼーションの時代へ突き進む。

画像は、1963年に撮影された日本初の都市間高速道路(栗林〜尼崎間)のインターチェンジの写真。トヨタ博物館のクルマ館のフロア展示から。

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