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杁ヶ池公園の主、駒村和廣さんに聞く「夢の公園」の未来図(4)【長久手タイムズ】

杁ヶ池公園内にある南共生ステーションでのトークの後、すぐ下にある杁ヶ池にくり出し、実際の水生植物であるヒシ(菱)の現状の確認と公園の植生について引き続きお話を伺いました。平成後期からヒシは問題視され効果的な対応策を見出すため、駒村さんを先頭に実証実験が繰り返されてきました。
またその間にも、病外注に侵された中央の島の黒松などが枯れて処分されたり、公園内1,600本ある樹木を確認し、約85種類の樹木に「樹銘板」を取り付ける活動が継続されていきます。桜だけでも、ソメイヨシノ、大島桜、四季桜など7種類。どんぐりの仲間も10種類ほど、草も250種程あるとのこと。池の中も外も在来種を追いやる繁殖力が強い外来種が多くなり、年間を通し駒村さんを先頭に対策と対応がなされています。

この写真は、今年7月30日撮影のもの。ヒシは全面的に増殖、池の水面は9割ほどが真緑色に変色した。

お話を伺ったのは9月上旬。この時期にはヒシは緑の色からかなりの部分がくすんだ色へと変色し、枯れはじめていました。池面は全体が灰色に沈んだ色に。この状態での除去活動は、ヒシと藻が根っこで絡まりあったり、腐敗するヒシを除去するのはかなりの人数をかけても相当な手間と汚泥処理、それに4トントラックが何十台分が必要で除去コストは1.000万円かかるという。しかし池の構造と水流の問題が解決しない限りまたヒシは発生してしまう。

池の東側にある四角い実証実験の跡。秋には緑色のヒシは実を結び水中へと沈んでいく。ヒシの除去はなかなか手に負えないものであることが、一部に限っではあったが2年にわたる実際の除去活動では効果が出なかったという。

絶滅危惧種マメナシの保全活動:
ナメナシ(バラ科)はその名の如くマメの様に小さな梨が実ります。中部地方の一部にしかない水辺を好む貴重種です。
この近くでは瀬戸に古木4本、尾張旭に1本あります。杁ヶ池公園のマメナシは、市内東部前熊にあった古木を所有者が撤去したい希望を、NEXPOが移植計画を作成し県と市の了解をえて移植したものです。

駒村さんが手にしているのは、ご自身の工房「むさし工房」で作られている竹の杖。竹は一本一本太さや節が異なるのですべて一品もの。それを地元の人が集う共生ステーションなどに何本も無料で置いていく。必要な人に使ってもらえたら幸いと言う。市内のあちこちからぜひ1本欲しいという声がたえずかかっている。職人的作業に支援と喜びが一体となった活動である。杖は長さはすぐ調整もしてくれるという。素晴らしい活動である。

杁ヶ池の一部では釣りも許可されている。腐敗したヒシのあいだでは釣りの楽しみも半減しよう。「夢の公園」の未来図では、どんな光景が出現するのか。一つの公園と言っても、人の数だけでなく、ここに集う生命の数だけのかかわりがあり、生き方や楽しみ方がある。「夢の公園」とは、<生き生きとした生命(いのち)の公園>でもあるのだ。

この記事を書いた人
1960年 長久手生まれ。上郷保育園、長久手小学校、長久手中学校へ。菊里高校、青山学院大学英米文学科卒。英字新聞部「青山トロージャン」所属。編集プロダクションのMatsuoka & Associatesにて学び、編集工学研究所入所。 1990年、洋書写真集・美術書をリースするArt Bird Books設立、1992年中目黒駅前に店舗を構える。2009年から代官山蔦屋書店にて主に写真集のブックコンシェルジェとして勤務。2020年、Uターンで地元長久手に戻る。 『Canon Photo Circle』誌の写真集コラムを1年間連載後、「長久手タイムズ」を始動。

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