長久手東部の里山を少し分け入った谷津(谷地にある細長い低湿地)には天を突くような竹林がある。今回訪れた竹林は、大草公民館から奥に150mほど行ったところ。根尾谷薄墨桜の2世を取り巻くように生えている孟宗竹(モウソウチク)の竹林である。
上郷地区では、丘陵の裏山が迫っているところでは家のすぐ近くや庭先までよくタケノコが出現していた(現在もそうした場所はまだある)。竹林は昔から暮らしの近くに存在していた。
あらためて距離をおいて眺めてみると天を突くその姿はなんとも神々しい。別様の「春の風物詩」である。
長久手市のあちこちに見かける竹林の中でもこの上郷・大草の谷津(杁ノ洞下池の東側近く)に広がっている竹林は、市内でも最も美しい場所の一つではないかと思います。杁ノ洞上池の奥にも見事な竹林がある。
竹は日本だけでもなんと600種類。90%は、真竹(マダケ)、孟宗竹(モウソウチク)、淡竹(ハチク )が三大有用竹です。
真竹は竹工芸にも用いられ、淡竹は茶筅(ちゃせん)などの茶道具に用いられます。ここの竹林は、孟宗竹の竹林で、竹炭に適しているだけでなく食用にも最も適している竹です。
孟宗竹は既存の森林の他植生へ侵入すると広葉樹の成長が阻害され枯死してしまうため生育場所によって対応が迫られたりします。
この孟宗竹の特性は成長が早く(地下茎を伸ばして分布を拡大する繁殖力が強い)、3ヶ月で最大の20m以上まで成長します。幹の太さは新竹、淡竹と比べて最も太くなります。
孟宗竹は18世紀初期(江戸時代)に中国大陸からもたらされた竹です。13世紀には曹洞宗の道元禅師が宋から持ち帰ったという説も。
竹林の少し手前に生える根尾谷薄墨桜。4月初旬撮影
孟宗竹の筍(タケノコ)。スーパーで見かけたり日本人がタケノコとして食べるのはほとんどがこの孟宗竹のタケノコ。肉厚で柔らかくえぐみが少ないのが特徴。
原産地は中国の江南地方。18世紀に薩摩藩主が琉球経由で入手した竹の株を藩内に植えたのが始まりとされています。
代表的3つの竹のタケノコ(引用元:薬王堂気まぐれ通信使blog)
この谷津のエリアは反対側の西側にも竹が群生しています。この奥に竹炭をつくる炭焼き愚連隊の活動の本拠地があります。
間伐された孟宗竹は様々に用いられているという。