もし1週間後、さとうゆみ長久手市長が誕生すれば、54市町村ある愛知県下でなんと初の「女性市長」誕生となる。「市」だけでなく初の「女性首長」なのだ。
全国自治体の長の割合は、1,784人の内、わずか42人(知事の2人も入れる)、2.35%。つまり2パーセント。国会議員よりも、住民の暮らしに身近な施策を行なう自治体の方が女性の進出は少ない。
今回、市内のグリーンロードに面した出陣式を取材したが、長久手というだけでなく愛知県でついに山が動くという思いを肌に感じた。それを察知したかの様に報道陣も居並んでいた。
長久手市での市長選での熱気はいつ頃ぶりなのか。吉田一平元市長(現在77歳)は2012年に初代長久手市長になってから一気通貫、3期連続当選。市長選は事実上ほぼ無風状態だったようだ。今回、市長を満期で引退表明。
佐藤候補の左手(写真では右手)に着席する10数名は、地元長久手の仲間や応援団ではない。こういうケースはそうはないのではないか。
そこに並ぶのは、隣の市・日進市や尾張旭、また元同じく愛知郡仲間でもあった東郷町の議員たちで、それぞれに進行役の女性が紹介していた。
その方たちの女性市長誕生への熱い想いが一つになって放たれていたのだ。
4年前の2019年、愛知県初の女性市長(首長)誕生が一番近かったと言われているのが、隣の日進市だった。日進市市長選に出馬した無所属新人の島村紀代美氏(当時56歳)が、元市議長の近藤祐貴氏(自民・公明推薦 当時49歳)にわずか118票差で敗れていた。
ところがである。その4年後の今年の春、統一地方選の市議選で、中部6県中、女性当選者の比率が最も高かったのは、その日進市だったのだ。定数20に対し10人が当選。全国平均は17.5%なので、日進の50%、男女同数はまさに全国屈指となった。ちなみに長久手市は、定数18に対して女性は7人の38.8%(2019年も同じ)。
今回、長久手市の市長選の出陣式に、その日進市や他の隣市より女性議員たちが駆けつけたのには、日進の市議選での女性たちが編み出した「カタチ」だった。つまり、女性が「一人」で戦うのではなく「連帯」して戦う。それを<見える化>した。
先の写真の隣市の女性たちの姿は、何も来賓なのでなく、私たちも一緒に戦っているという<エール>なのだ。