長久手の空は、西方に県営名古屋空港(小牧空港)があるため、上空を東西に飛ぶ飛行機を頻繁に見かけますが、ほぼ毎日のように飛翔する「ドクターヘリ」のプロペラ音や姿を見かけるでしょう。ご存知のように、ドクターヘリの発着場所は愛知医科大学病院にある地上ヘリポートです。
平成14年に愛知県と国の共同事業として、全国で4番目にドクターヘリ事業が開始されました。日々、目にするドクターヘリですが、さてどこまで飛んで行っているのか、誰が乗っているのか、患者さんも搭乗しているのか、利用料は、など意外とはっきりとは知らない事ばかり。これを機に少しばかり知っておくと友達にもお話しできますね!
ドクターヘリは重篤な患者さんを現場から搬送するようなイメージがありますが、現実とは幾分異なります、主目的は、「救急処置を必要とする重篤な患者さんが発生した現場に、その救急医療に精通した医師・看護師を派遣すること」なのです。よって初期治療に必要な医療機器や医薬品が搭載されています。単なる重篤な患者さんの搬送システムではないことがわかります。
搭乗者はヘリコプターの機長だけでなく、重篤な患者さんの病院前医療として、治療介入が喫緊に要求されるため医科大学の医師と看護師も搭乗しています。運行管理は中日本航空株式会社が担っています。
愛知県にドクターヘリは、今年から豊明市にある藤田医科大学病院にも設置されることになったので、県内2機となりましたが、従来の活動範囲は原則的には愛知県全域です。飛行距離の片道70kmを原則としているとのことで、そうするとちょうど愛知県全域が飛行射程に入ります。有視界飛行の場合、片道70kmの飛行にかかる時間は約25分。なんと時速、200キロから250キロで飛行しているとのことです。
愛知医科大学に配備されているヘリコプターは、ユーロコプター EC 135 P2型とのこと。高速巡航速度:254km
座席仕様:操縦1名、整備士1名、医師1名、看護師1名、同乗1名、患者ストレッチャー1名
2022年度の出動件数:359件 - 平均1日に一回
ドクターヘリの要請は、県民から直接ではなく、市町村の消防本部通信司令室が県民からの119通報を受信することから始まります。消防本部通信司令室の総合的判断でドクターヘリの出動を愛知県医科大学病院にある「ドクターヘリ運航センター」に要請します。消防本部より要請を受けると、5分以内にドクターヘリは離陸し飛行に入ります。
出動イメージ図から、患者さんの搬送先は、実はドクターヘリの基地病院の愛知医科大学病院という訳ではないことがわかります。発生場所、病態などを総合的に判断し、愛知医科大学病院を含めた県内の26の病院に救急患者搬送をしています。現場に医療チームがまずおもむくことにより、初期治療開始時間の短縮が図られます。
現地の着陸場所は、救急現場近くの空き地や公園、学校や企業のグラウンド、また河川敷などが臨時のヘリポートになるとのことです。
ドクターヘリ出動イメージ図:愛知医科大学病院ホームページから引用
ヘリポートから飛びだつシーンはこちら!
搬送先は26の救急医療機関です。名古屋市立大学病院、名古屋医療センター、名古屋第一赤十字病院、春日井市民病院、岡崎市民病院、豊橋市民病院、刈谷豊田総合病院などです。2024年から藤田医科大学病院が県内第二のドクターヘリ基地病院になったため、愛知医科大学病院は主に愛知県西部を、豊明市にある藤田医科大学病院は主に愛知県東部地区をになっていくのではと思います。
患者さんの搬入は、ヘリのお尻のところからになります。ストレッチャーが見えます。
愛知医科大学病院の画像より。右の写真は別のドクターヘリの内部の様子
ちなみに費用負担は県と国が取り持つため、患者さんはドクターヘリ利用の金銭的負担はなく、通常の往診料、救急搬送料、治療費だけの負担となります。
ドクターヘリよりも意外と見かけませんがこちらは愛知医科大学病院の「ドクターカー」です。
愛知県として2機目が、豊明市にある藤田医科大学病院に配備されました。2024年2月1日よりの正式運用前に、能登半島地震の災害支援活動に従事。機種はBell429。1年後からBK117 D-3型が導入される予定とのこと。
地上ヘリポート・格納庫は2025年度に整備予定。それまでは名古屋空港から毎朝、藤田医科大学病院の13階屋上のヘリポートを使用とのことです。17時頃にはまた名古屋空港に帰還します。