2024年度の「街の住みここちランキング」(大東建託賃貸未来研究所)で愛知県下で長久手市が5年連続1位となりましたが(全国版は今後公開さ)、同調査による「駅ランキング」においても、長久手市内のリニモ各駅が1位から3位を今年度も1位から3位まで独占しました(昨年と同じく1位「杁ヶ池公園駅」2位「はなみずき通駅」3位「古戦場公園駅」)。
とりわけ2021年の初登場以来1位の「杁ヶ池公園駅」の要因は、アピタなど大型商業施設と杁ヶ池公園の存在が常にあげられていますが、言葉をかえれば都会的要素と自然環境的要素のバランスでしょう。「都会」と「自然」要素のバランスといえば、同調査で高評価を獲得している「長久手市」そのものの評価でもあるので、「杁ヶ池公園駅」はその縮図と言えるかもしれません。
くわえて杁ヶ池公園駅前のポルシェの店舗、さらにアウディ、ボルボなどグリーンロード沿いに建ち並ぶ多くの外国車ディーラーなどの存在、そして日本画や美人画を展示する駅近の「名都美術館」や「図書館通り」の存在、また近場には古戦場公園寄りにある武将森長可の「鬼武蔵最期の地」や長久手城跡の城屋敷エリアや「せせらぎの小径」、また名古屋の藤が丘駅からも近い立地、全体的に緩い傾斜のあるランドスケイプなども加わるかも知れません。
これらが1970年代初頭から続く宅地開発の中、杁ヶ池が都市公園化され、高架式リニモが開通し、多面的に絶妙にハイブリッドされた空間が「杁ヶ池公園駅」の魅力になっていると考えられます。
「杁ヶ池公園駅」前にあるポルシェの店舗
杁ヶ池公園駅から南方を望む。奥に見える森林地帯が杁ヶ池公園。さらにい奥に名古屋名東区の猪高緑地。
杁ヶ池公園駅からすぐ近く(徒歩数分)にある「名都美術館」。横山大観、川合玉堂、平山郁夫らの日本画、伊藤深水、鏑木清方、上村松園らの美人画を収蔵する美術館として知られています。
「名都美術館」- 四季折々の風情を見せる石庭も素晴らしい。
左手にリニモの線路と「杁ヶ池公園駅」、駅に接続された商業施設のアピタ。中央右寄り奥にAEON長久手店やトヨタ博物館。雲の下にモリコロパーク・ジブリパーク。雲の向こう側に猿投山が浮かぶ。こうした立地環境も「杁ヶ池公園駅」を駅ランキングNo.1にしている遠因になっていよう。
左手に黄色い屋上看板が大型商業施設の「アピタ」。写真の右側が杁ヶ池公園。「アピタ」から杁ヶ池公園までは住宅やマンションが建ち並ぶ。徒歩で5、6分程。
杁ヶ池公園とその東側に広がる住宅地。右奥に日進の竹の山。その麓に愛知学院大学の白い建物。
昭和40年代半ばまで面積が2倍あった「杁ヶ池」
現在は、岩作北部にある「立石池」やモリコロパークの「こいの池」の面積が大きいのですが、江戸時代(おそらくそれ以前より)から昭和40年代半ば過ぎまで、「立石池」と「杁ヶ池」は同じ程の面積で、「杁ヶ池」は現在の約2倍程あったと言われています。現在の水場前にある駐車場部分と体育館横の湿地帯がもともと農業用の溜池でした。公園化されたのは面積が縮少されてからのことです。
1971年からはじまった土地区画整理事業によりこの一帯が宅地化される前まで、池は依然まだ大きく地元の人の水遊び場にもなっていたようです。「杁ヶ池」は長い歴史の中、ついこの前まで約2倍もの面積を誇っていました。
地図引用元:「愛知郡長久手村絵図 嘉永2年(1849年)」『長久手町史 資料篇1 近世村絵図・地図集』/発行:長久手町役場より 昭和56年
杁ヶ池体育館