今回は少し趣向を変え、日本の小学校のドキュメンタリー映像が、長久手とも縁のあるフィンランドなど世界各国で強く関心をもたれ評判になっているとのこと。知ってられる方もいるかと思いますが、その一端を「長久手タイムズ」にて共有します
ドキュメンタリー映像の監督は、英国人の父と日本人の母を持ち大阪の小学校を卒業後している山崎エマ監督。映画タイトルは、「小学校〜それは小さな社会」(英題:Instruments of a Beating Heart)。
山崎エマ監督は、中高は日本のインターナショナルスクールに通った後、アメリカの大学(ニューヨーク大学映画制作学部)で学んでいます。アメリカの地で自分らしさは、日本で過ごした小学校時代に学んだ規律と責任に由来していることに気づき、映画制作の動機となっていったといいます
2023年、山崎エマさんは日本の公立小学校を1年間150日、のべ4000時間を要して撮影。長編ドキュメンタリー映画「小学校〜それは小さな社会」を完成。2023年の東京国際映画祭でワールドプレミアされ、多くの国の映画祭で上演。その短編版が第97回米国アカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされています(受賞は逃す)
映画「小学校〜それは小さな社会」の日本でのキャッチフレーズは、「Making of a Japanese 日本人の作り方」「6歳児は世界のどこでも同じようだけれど、12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている」。これにはついクスッと笑ってしまいます
さて、映画「小学校〜それは小さな社会」はどんな映画なのか、その入り口をのぞいてみましょう
山崎エマ監督の初日本の長編ドキュメンタリー作品は、子供達に大人気となっているアニメ「おさるのジョージ」(NHK Eテレ放送)の原作者ハンスとマーガレット・レイ夫妻の半生にフォーカスした長編ドキュメンタリー作品『モンキービジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』(2017年公開 英題『MONKEY BUSINESS: THE ADVENTURES OF CURIOUS GEORGE’S CREATORS』)で、監督・プロデュース、編集を手がけている。
マーガレット・レイ夫妻は、後に人気絵本シリーズとなった「おさるのジョージ」の作品を隠し持って、ナチスのユダヤ人虐殺からニューヨークへと逃れていた
またマーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙』についてのドキュメンタリー番組にアメリカ側のディレクターとして参加
ドキュメンタリー映画『甲子園: Japan’s Field of Dreams』(2019年制作)は、アメリカ最高峰のドキュメンタリー映画祭DOC NYCでワールドプレミア。「New York Times」の「海外映画おすすめトップ5」にも選出されている
長久手市内にある6つの「小学校」、6つの「社会」
日本一平均年齢が若い自治体と呼称される長久手市にも、映画「小学校〜それは小さな社会」に描かれたような小学校が6校あります。子供たちは平日の半日以上をこの「小学校」という「社会」で過ごすことになります。
1976年までは長らく長久手中央部にある長久手小学校1校のみの時代が続いていましたが、1970年代の都市計画によって人口が急増するにつれまず長久手西小学校が長久手小学校より分離することになりました。
以降、さらに4つの小学校が誕生することになります
2008年には、長久手西小学校と南小学校から市が洞小学校がさらに分離しています。その後、1,000人超えのマンモス小学校校となる長久手北小学校も開校しています。
700人とか1000人ともなると会社組織とみてもかなりの人数といえます。長久手市内で一番大きな企業組織・日東工業(株)の本社のある場所でも600人余(他の場所の工場などを含めると2170人程)ですから、小学校の多くが市内最大の企業組織よりも人数が多いことになります。
まさに子供たちは一つの「社会」の中で生活し成長していくことになります。あらためて考えてみれば大人たちもほんとはよく知らないもの凄い場所と言えるのでしょう
長久手東小学校(児童・生徒数約630人)
長久手市立市が洞小学校(児童・生徒数約900人) 写真引用元:香山建築研究所サイトopen data(香山建築研究所は、市が洞小学校、長久手市文化の家を設計)
市が洞小学校 写真引用元(左):近代建築社サイトopen data / 写真引用元:香山建築研究所サイト open data
現在、長久手市には1000人強の外国人が居住しています。子供さんが日本の小学校に通われている家庭も多くあります。長久手の小学校で過ごした彼ら彼女らが成長したらどんな思い出を語られるでしょう
実際には、幼稚園・保育園での日常の生活そのものが「世界が驚く日本の小学校」をすでに準備しているのです
日本の小学1年生が、公立小学校に入学して突如、日本の公立小学校のルールや習慣の中で生活するようになるのではなく、私たち日本人は幼稚園・保育園の時分からすでにそれらが始まっていることをなんとなく知っています
長久手市内の公立私立の数ある幼稚園・保育園でも、下駄箱の使い方から挨拶や順番待ち、掃除・手洗い、給食当番、生活発表会や各種イベントに至るまで、後の小学校で体験するほとんど全ての基礎が保育士の先生達によって学びが日々なされています
山崎エマ監督のドキュメンタリー映画「小学校〜それは小さな社会」には、あきらかに「幼稚園・保育園〜それは小さな小さな社会」という雛形があることを知ると、「日本人は一体いつから日本人になるんだ」という思いがふと湧き上がってきます