長久手市には3つのパブリックで開かれた大きな「家」があります
最初の「家」ができたのが、1998年にオープンした「文化の家」です。市民の様々な文化活動の拠点の場所です
2番目の「家」が、市の東部の里山エリアにあるのが2002年に開館した「福祉の家」で、市の福祉機能と温泉交流施設を併せ持つ施設です
そして愛知万博の翌年の2006年、3番目の「家」として、「長久手市平成こども塾」の活動拠点となる「丸太の家」が完成しています。日本一平均年齢が若いと呼ばれる自治体として、子供たちが自然環境のなか、皆で身体に染み込むような体験ができる場として「丸太の家」は活用されています
「個」が自然から浮遊あまりにも強調され推し進められる現代、こうした大きな「家」の在処(ありか)と在り様はきっと大切な何かをもたらしているはずです
❶ 文化活動の拠点「長久手市 文化の家」
演劇や演奏会など様々な舞台公演や式典や集会など幅広い分野にわたる文化活動の拠点として設けられたのが「文化の家」で1998年(平成10年)に開館しています。当時の長久手の人口は、約39,000人の時で、「我が家感」がコンセプトに置かれていました
3つあるホールの内、最大のホール「森のホール」は、オペラやオーケストラ、演劇、シンポジウム会場に利用され最大800人収容できる施設です
大震災に備えるための「天井改修工事」です
改修工事の工事内容
・天井改修工事(森・風のホール客席、ガレリア・アトリウム)
・森のホール音響反射板、ホワイエ天井、舞台ホール照明等改修など
「特定天井」の案件
東日本大震災時に大規模空間がある建築物の天井脱落が多数発生したため建築基準法が改修されたことから国の定める基準に応じた改修が必要になったために実施されています
「文化の家」は、第41回建築業協会賞を受賞しています
建物の設計は、香山壽夫(こうやまひさお)建築研究所
香山建築研究所は、以下の設計でも知られています。
那覇芸術文化劇場なは〜と(2021)、港区郷土資料館等複合施設(ゆかしの社 2018)、ロームシアター京都(2016)、東京大学安田講堂改修(2014)、東京芸術劇場改修(2012)、神奈川芸術劇場・NHK横浜放送会館(2010)、熊野本宮館(2009)、長久手町立市が洞小学校(2008)、国立科学博物館(2007)、野々市町役場庁舎(2004)、天使の聖母 トラピスチヌ修道院 旅人の聖堂(2001)、彩の国さいたま芸術劇場(1994)、東京大学総合資料館(1983)、清里高原ホテル(1980)
❷ 長久手東部の里山エリアにある「福祉の家」
「長久手市福祉の家」は、2002年(平成14年)に開設された市の福祉機能と温泉交流施設を併せ持つ公共施設。<健康・福祉・交流>をキーワードに、市民のレクリエーション多目的施設という位置づけになっています
もともとは宅地開発で新住民が多く暮らすようになった市の西部や南部と比べ、東部エリアは高齢者が多いことも背景に、市の福祉機能センターを東部里山ゾーンに開設しました。時の加藤梅雄町長が「福祉の家」の目玉として温泉施設を設けたい一心で温泉計画を進めたとのこと(この土地の地名が「湯の花」ということが頼みの綱だったといいます)。
日本の採掘メーカーに加え、カナダから技術者を呼んで難工事の末に掘り当てています。これによって「福祉エリア」と「温泉エリア」(写真の右側)の2つのエリアが両翼となり、交流ストリートで結ばれる形となっています
❸ 平成こども塾の活動拠点「丸太の家」
「福祉の家」の開設から4年後の2006年(平成18年)、「長久手市平成こども塾」(2002年から活動)の活動拠点となる「丸太の家」が完成しています
ロケーションは、東部丘陵エリアで「里山の豊かな環境を生かした体験活動による、子どもたちの生きる力の育成」を基本理念とした体験版教育施設。長久手の子どもたちが、「農」「自然」「暮らし」を四季を通じて肌感覚で体験する拠点になっています