トヨタ博物館・文化館で新春の企画展「お蔵出し展」が開催されています。トヨタ博物館は、常設展示車140台以外になんと400台あまりの国内外の車両を収蔵していますが、今回はその収蔵庫から13台が選ばれ展示されています。敗戦直後に日本の自動車メーカーが設計製作した自転車や自動二輪車にもフォーカス。クルマ館の常設展には一度も展示されていない車や、日本では見られない日本車など一台一台に背景と物語があります。気楽にのぞきに訪れると、懐かしさと同時に思わぬ発見や出会いがあるかも知れません!
展示場内の背景パネルは、実際の収蔵庫内の写真になっていて、セレクションされた13台が収蔵庫からまさに登場したイメージになっています。床面もその展示演出を高めるために初めてパンチカーペットが敷かれ展示スペースの雰囲気を盛り上げています。加えて、13台のセレクションをイメージしたBGMが時空をトリップさせます。George Benson、The style Council、Earl Klugh、Oscar Peterson、David Sanborn、そしてなぜか櫻坂46の「Overture」、、(選曲:博物館の鳥居十和樹さん)。
クルマ館の常設展示車以外に収蔵されている400台もの車両の様子。相当な巨大倉庫だということが感じられます。
「ニッサン スカイライン GT-R」(1970):
第三世代スカイラインをベースにレースに勝つことを目的にした初代GT-R。レースでは前人未到の通算52勝を記録。展示車はGT-Rデビューの翌年、より戦闘力を高めたハードトップモデル。テールフィンや四角いテールランプが懐かしい。
「シボレー コルベット スティングレイ」(1963)
伝説のスポーツカー「コルベット スティングレイ」の中でも希少車という”スプリット・ウィンドウ”が展示された。さすが存在感があります! ボディ全体のエッジラインを魅せるため戦後の米国車として初めて格納式ヘッドランプが採用されている。
大衆車からは「三菱コルト 1000F」(1968)とオランダの「DAF 600」(1959)と旧東ドイツの「トラバント601 ユニバーサル」(1965)がセレクションされています。
赤色の懐かしい三菱コルトは、三菱が初めて海外ラリーに本格参戦した。当初は2ドアのみだったとのこと。
黄色いキュートな車体がオランダの「DAF 600」。世界初の無段変速機が搭載されている。DAF社は1928年に自動車修理工場として創業。現在はアメリカのパッカーグループ傘下に。
CVT無段変速機はオランダで誕生し、日本で育てられたともいわれる。現在は金属ベルト方式へと進化し、多くの車に採用されている。
「ロータス エラン シリーズ 4」(1972)
英国のロータス・カーズが、北米戦略モデルとして開発したエラン。シリーズ通算18,000台を販売し、ロータスを一流のスポーツカーメーカーに位置付けた記念すべきモデルだ。
「トヨタ アイゴ」(2006)
日本では見られない日本車。
トヨタ、プジョー、シトロエンのかつての合弁会社TPCAがチェコの拠点で生産したクルマ。プラットフォームを共有する姉妹車にプジョー107とシトロエンC1がある。
日本では見られない日本車の一台。「トヨタ バンデランテ」(2001)
見た目もトヨタの旧ランドクルーザーをベースにしたブラジル市場専用車。40系ランドクルーザーを元車としたブラジル市場専用車。ブラジルの高い国産化規定に対応しながら現地の用途ニーズに応え独自進化した。
「トヨタライトバス」(1963)
1964年の「東京オリンピック」で選手や観客の移動に活躍した昭和のコミューターバス。ご年配の人は映像の中で見た記憶があるかも知れない。
当時の車両は製造者のトヨタ車体(株)にも存在せず、本車両はトヨタ車体の若手社員が2013年に復元したもの。
全面に窓が限りなく広くとられ開放感があり、今見てもスッキリしたデザインセンスですね。
「トヨタライトバス」のテールライトのこと
「トヨタライトバス」の丸っこいテールランプ(上部の赤色ランプ)は、1967年に発売された名車「トヨタ 2000GT」のブレーキランプにも使われているという。
「三菱 十字号」(1947)
「お蔵出し展」になぜに自転車が?! その理由を知ると敗戦後の技術者の心中が伝わってくるようです。
零戦や一式陸上攻撃機を製造していた三菱重工業が戦後に航空機の開発・製造を禁止されたため、民需事業への転換のひとつとして作られた。行き場を無くした航空機用のジェラルミンが自転車に流用された。車体は眩く輝くばかり。この自転車の設計者は、一式陸上攻撃機の主任設計者だった本庄季郎。
「一式陸上攻撃機」
三菱重工業が設計・製造した大日本帝国海軍の陸上攻撃機。日中戦争・太平洋戦争での日本海軍の主力攻撃機だった。
対して、一式戦闘機は、帝国陸軍の戦闘機で、中島製作所が開発。
宮崎駿監督の最新映画「君たちはどう生きるか」の前作がこの映画「風立ちぬ」(2013)で、キャッチコピーは「生きねば。」だった。
戦闘機・零戦の航空技術者の堀越二郎の半生が題材の一つになっているが、堀越二郎の親友として一式陸上攻撃機の主任設計者だった本庄季郎もこの映画に登場している。
*映画「風立ちぬ」引用元:Yahoo DVD 劇場版アニメ
「三菱 シルバービジョン」(1949)
「十字号」と同様、民需転換期に三菱重工業が製造したスクーター。
車輪には、航空機の離着陸時に使われるランディング・ギア用の車輪が」流用されているとのことだ。
「ホンダ スーパーカブ」(1962): このCA100型は輸出モデル。スーパーカブは低燃料、経済性、耐久性に優れ世界中で愛されている。2017年時点で170カ国で販売されており、同時に累計生産1億台を超えた。
今回の「お蔵出し展」を企画されたトヨタ博物館の鳥居十和樹さん(左)と平田雅己さん(右)。中央は広報担当の與語美紀子さん。まさにここでしか聞けない興味深いお話しをいろいろ伺いました。有り難う御座いました。
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