マクドナルド長久手打越店の4月19日グランドオープンの広告看板。オープニングスタッフ大募集!!の下、目についたのが、「オープン特別時給」だ。1,230円で、愛知県の時給の最低賃金が、1,027円(前年比:+41円)で、200円高い設定である(高校生〜一般も同じ。1,538円は夜10時以降の時給)。3カ月半近く、時給が200円高く設定され、以降は「通常時給」の1,030円に戻る。
マクドナルド長久手店(砂子交差点)は4月で新しい店舗「長久手打越店」に移転。
周りに大学が多く学生さんが多い長久手市内の飲食店でバイトを募集をかけても以前の様にすんなり応募がある時代ではなくなっていると聞きます。「オープン特別時給」は、東京圏などで以前から大人数のアルバイトの募集を一気にかけるときに用いられている手法で、今回もそれが用いられました。
マクドナルドの時給は、全国どこでも最低時給ラインに近いところで設定されていて、愛知県でも3円高いだけ。それでもとくにオープニング募集は、一緒にはじめるためスタッフ同士に上下関係もなく、採用もされやすく、忙しくてもモチベーションも保ちつつ学べ仕事をすることもできるようで、またマックなりの働き安さもあるようで1ヶ月のちのオープンは段取り通り進むに違いありません。
さて、以下はマックとは直接的になんら関係ありませんが、その「最低時給」のことに思いをはせてみました。
最低時給賃金トップ10
最低時給賃金の変遷を1980年、90年、2000年、2023年と比較しみてみました。ガラパゴス型の最低賃金として世界にも知れ渡り、翻って物価が驚くほど安い「観光大国」としてさらに拡張してゆく政策を発表しています。私たちの暮らしに密着している足元の最低賃金をあらためて確認しておきましょう。
最低賃金トップ10(2023年度)
1位 東京 1,113円
2位 神奈川県 1,112円
3位 大阪府 1,064円
4位 埼玉県 1,028円
5位 愛知県 1,027円
6位 千葉県 1,026円
7位 京都府 1,008円
8位 兵庫県 1,001円
9位 静岡県 984円
10位 三重県 973円
40位 秋田県、愛媛県、高知県、宮崎県、鹿児島県. 897円
45位 徳島県、沖縄県. 896円
47位 岩手県. 893円
*最低賃金の全国加重平均は1,004円(前年比+43円) 1,004円より高い都道府県は7位の京都府までである。
下に2000年度の最低賃金を参考にアップしておきました。平均すると毎年20円づつ最低賃金はアップしていたことになります。
三大都市圏と10位の県の最低賃金の差が、2000年時にはわずか40円(現在は140円程)だったのが、格差が急速に拡大しているのがわかります。1980年には同率38位の県と、三大都市圏との差は40円〜75円くらいのものでした。
2000年度の最低賃金トップ10
1位 東京 703円
2位 神奈川県 701円
3位 大阪府 699円
4位 愛知県 677円
5位 埼玉県 673円
5位 京都府 673円
7位 千葉県 672円
8位 兵庫県 671円
9位 静岡県 667円
10位 岐阜県 663円
10位 三重県 663円
2000年時点では最低賃金に限れば1位の東京都と4位の愛知県とはわずか26円差。そんな時代もあったのかと思えるほどである。10位の岐阜と三重ともわずか40円差で、青年が時給につられ東京に行ってみようかと思うことはほぼ無かったと記憶します。
なぜ急速に格差が開いていったか。大きな理由は、2001年春からはじまる小泉純一郎政権のアメリカが推し進めていったグローバリゼーションと市場経済システムの安易な礼賛なのだろう。これによって野党との対話を重んじていた本来の自民党が大きく変質し、失われた30年へ。安倍晋三氏亡き後の現在の岸田文雄政権のさまざまに禍根を残す危機的状況へとつながっていくことに。
1990年度の最低賃金トップ10
1位 東京 548円
2位 大阪府 547円
3位 神奈川県 545円
4位 愛知県 531円
5位 埼玉県 527円
5位 千葉県 527円
5位 京都府 527円
5位 兵庫県 527円
9位 静岡県 522円
10位 岐阜県 521円
10位 三重県 521円
1990年バブル絶頂の時、三大都市圏と10位の県との差は、最低賃金で比較すれば2000年時よりも差はなく、僅か10〜25円程の差でした。この時代、短期の主に力仕事のアルバイトなどで1日働くと実質的には、8,000〜12,000円(日給制)くらいだったので、単純に最低賃金で計算されていた訳ではなかったでしょう。1989年の東京のアルバイト情報誌で、コンビニ店員募集の時給は、「570~800円」で、最低時給は最低時給としてあったものの、それよりも高い時給で設定されていたケースが多かったと記憶します。
1980年度の最低賃金トップ10
1位 東京 405円
2位 大阪府 375円
3位 神奈川県 373円
4位 愛知県 364円
5位 千葉県 361円
6位 埼玉県 360円
7位 兵庫県 359円
8位 静岡県 356円
9位 岐阜県 355円
9位 三重県 355円
最下位の38位には、青森、岩手、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄で、318円
1980年、高度成長の後半期、東京と他の大都市圏との差は、わずか30円程。最下位の38位と東京との差は82円。中央と地方も全国的にほどよくバランスが取れた賃金体系だったことがわかります。
AEON長久手店4階 namcoゲームセンター
賃金格差の拡大が東京一極集中をますます強めていく。
愛知県は全国に先立って、2025年度に最低賃金を、まずは1,200円に設定する意欲を!
(世界基準では、1,500円が標準でほとんどの先進国が実現。全国労働組合連合会=全労連も「全国一律の最低賃金を1500円に引き上げるよう要求。為替レートからも妥当な数字と主張)
2027年以降に、東京〜名古屋間のリニアが開通。現在、名古屋駅西口はリニア名古屋駅が準備・工事中。静岡工区だけは未着。
東京〜名古屋間が40分となり東海圏と東京圏はつながる。このままでは東京圏への人口流出もありうる。
今年、来年と最低賃金の賃上げが続くと、アップ率が高い東京は恐らく2025年度には、1200円へと到達するであろう。その時、愛知県は、1,100円ほどだろうか。前回の前年比UP率は全国ほぼ同じ(下位の方が数円高くなっている傾向)なので、このままいけば地域差はまず埋まることはない。
また生産年齢人口が急速に減少局面に入り人手不足が深刻化し、採用ニーズが高まっているにもかかわらず、最低賃金が思ったよりも上がっていかない理由として、人件費のコストアップに対する中小企業経営者の倒産への不安、失業率上昇への不安などがいつもあげられるが、国際的な人材獲得競争の中、世界のどの国もプラス面を前面に押し出し労働者の生存権を第一義的にしている。時代も社会も技術も環境も生活も変化している中、企業や社会のプレイヤーの人間は、そしてその近い将来をどう思い描くのか。新たな経済環境下、喫緊の重要な課題です。
最低賃金を全国一律にする必要性。世界は全て完了している!
最低賃金の全国一律は地方創生に欠かせないでしょう。まずそこを決めて、あとはそれぞれの地方や企業が賃金を決定すれば良いこと(アメリカ、ロシア、ブラジルは、全国一律の最低賃金を上回る水準において、各地方が独自に最低賃金を決められる)。
地域別の最低賃金導入国は、中国、カナダ、インドネシア、日本の4カ国のみ。中国、カナダ、インドネシアは国土が広く交通手段も限られ労働者の移動がほぼ無い国で、日本のように新幹線が全国を走るようになり、交通手段が容易で、数時間で移動可能となれば労働者は高い賃金の地域へ移動する可能性が高くなるのは必然。
地方の過疎化、衰退を最小限にするため世界のほぼ全ての国が、最低賃金の全国一律制を完了させています。
イギリスは今年4月に全国一律の最低賃金をこれまでに最大の9.8%引き上げ、時給11.44ポンド、日本円で約2133円に値上げ決定! とくに若いジェネレーションには上げ幅をさらに引き上げた。16-17歳は、21.2%、18-20歳は最低賃金を14.8%引き上げ。
ドイツは、2024年度から、全国一律の最低時給 12.41ユーロ(2004円)に。2025年度には、2050円台へ。
つい最近、これも長年の問題立ったどちらの親にも子供の親権を認めることになった「離婚後の親権問題」もそうだが、タブーにしてきたことがあからさまになり問題が完全に表面化してきている。最低賃金の全国一律化もまた同じで、そのための準備がさまざまなレベルで成されていくべきである。