長久手市内には図書館通り沿いをはじめ各所に彫刻作品が置かれ目を楽しませてくれています。それらは東部丘陵の森の中に創立(1966年)された愛知県立芸術大学との長い関係の歴史あってのことです。
そして今年2024年4月に県芸大の美術学部美術科の「彫刻専攻」に、モダンな「新彫刻棟」が完成しました。構想の根底にある視点は「ヴィレッジ」とのこと。
自然や社会、世界との多様なつながりが強く意識された「現代型のアートヴィレッジ」が、東部丘陵の森の中に生み出されようとしています。
森から突き出るような木造とガラスによるシンボリックな「交流棟」。「窓」「テーブル」「カフェ」をイメージし、人が集い、語り合い、高め合えるオープンな施設となるよう設計されている。
始動した新しい彫刻専攻棟。
中央の2階がガラス張りの建物が工房棟(土工房、木工房、金工房、石工房)、その周りがアトリエ。各々の工房は壁で仕切らず横断的に行き来できるそうだ。しかも制作プロセスがオープンで、移動もスムーズになっている。
21世紀の彫刻は、「地球上のおよそすべてを素材とする表現」。そのため様々な「素材」を知り、「素材」と出会うことが企てられているとのこと。
彫刻専攻の新しいカリキュラムは、この新彫刻棟の在り方を前提に全てを一体化したものになっているといいます。どんな新たな彫刻が生み出されるのか楽しみです。
すぐ近くに大きな木材を置くスペースや倉庫も用意されている。
この一本の樹の向こう側の白壁の向こう側が木材などの倉庫。
「交流棟」から全体の施設を眺める。
アトリエの前に何気に置かれていた彫刻作品
奥に見える建物は「交流棟」。その地階にはレクチャーや展示スペース、また実験的なプロジェクトに取り組むことのできる多目的な「プロジェクトスペース」になっているとのこと。
「交流棟」の向かいはデザイン専攻の棟と日本画専攻・油絵専攻の棟、伝統ある彫刻棟、芸術資料館などへのルートとなっている。
愛知芸大の建築物は吉村順三氏の設計として「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」の一つに選定されていますが、「新彫刻棟」も新たなアートのムーブメントを生み出すかも知れません。