2019年に東京の神田明神にある文化交流館「EDOCCO」で開催された小さな展覧会が、長崎→京都→東京→岩手→福岡→愛媛→神奈川→岡山→長野と巡ってきた「鈴木敏夫とジブリ展」がフィナーレを迎えています!
もともと鈴木敏夫氏が発してきた“言葉”に注目し「ジブリ誕生の秘密」を探る小さな展覧会が日本各地を巡るうちに新企画が入りヴァージョンアップ。ついに時が経過する巨大な湯屋と不思議な商店街も出現しています
ジブリ誕生のみならず、ここ愛知での<ジブリパーク誕生>には、鈴木敏夫氏の存在がなくてはならなかった訳ですが、遡れば鈴木敏夫氏の終戦後の名古屋での誕生と成長、とくに本と映画、音楽との遍歴にその後の<ジブリ誕生>をたぐり寄せていく、引き込んでいく運動が膨大な資料群と共に開陳されています
会期は残すところ後わずか。怒涛の「中日ドラゴンズコーナー」「鈴木敏夫の音楽コレクション」「湯屋と不思議の町」の3つの新たな展示も加わって圧巻の展示空間に!
間違いなく一見の価値あり。とくに週末相当混んできてます。まだ未見の方はぜひに!
開催場所:ジブリパークがある愛・地球博記念公園・地球市民センター・体育館で開催中
入り口を入った所にある「スタジオジブリと愛知 2005-2025」の巨大パネル
2005年は愛・地球博が開催された年。そのパビリオンの一つとして「サツキとメイの家」が実物大につくられたことからはじまり、すぐ翌年に中日ドラゴンズファンクラブのマスコットに宮崎駿監督デザインのキャラクターが決定しています
「ジブリパーク」のあのロゴは、前半の「ジブリ」を宮崎駿監督が、後半の「パーク」を鈴木敏夫氏が描いた
「ジブリパークのある愛知」はもちろん鈴木敏夫氏によるもの
展示中ほどから撮影可に:
展示前半は撮影不可ですが、クリエイターとしての鈴木敏夫氏の「書」の作品群や蔵書・音楽棚、映画コレクション、中日ドラゴンズグッズコレクションなど
制作者、プロデューサー、編集者、クリエイターとして編集的思考術を発揮する名伯楽・鈴木敏夫氏が、何者にも代え難い存在として立ち現れてきます
展示は、映画『となりのトトロ』の制作発案者であったり、名作の題字書き、スタジオジブリ設立前後の秘話、映画監督との鈴木氏ならではの向き合い方、大ヒットを生むきっかけとなったポスターやコピーの制作過程、ロケハン、『風の谷のナウシカ』から『アーヤと魔女』などまで、鈴木氏の半生を螺旋を描くように巡っていきます
「鈴木敏夫とジブリ展」は、2019年に東京神田明神での展覧会からさらに遡る、2017年 広島の「筆の里工房」で催された「スタジオジブリ 鈴木敏夫 言葉の魔法展」をルーツに持った小さな展覧会だったようです
始まりの展覧会会場がなぜ「筆の里工房」だったか、「筆の里工房」を紹介する動画を見るとその理由が見えてきます
広島「筆の里工房」を皮切りに、2018年には名古屋(松坂屋美術館)で、次いで金沢(金沢21世紀美術館)で開催され好評を博し、2019年に東京・神田明神で「鈴木敏夫とジブリ展」が開催されました
展覧会はまるでクスノキが成長するように、展示内容が豊かにバージョンアップしていったという稀な展覧会になったようです
8,800冊の本と漫画からなる圧巻の本棚空間が出現
「れんが屋」と呼ばれる鈴木氏の隠れ家を元に構成
今回展示では、鈴木敏夫氏の少年時代の本や漫画とどうかかわったか、子供時代の部屋の再現空間や、本が沢山あった隣のお宅の日比野家での読書体験、中・高時代、慶応大学時代とどんな本や漫画に影響を受けてきたか、読んできたかが、展示の前半(撮影不可)で開陳されています
8,800冊は、8,800本の「本の森」となって鈴木氏ならではの思考術と構想力、企画力や編集術となっていったに違いありません
滋味豊かな言葉を紡ぎだす鈴木氏は「本の森」の住人だったことが手にとるようにみえてきます
1日に一度は本を開いて読まないと寝れなかったといいます
10.000本物映画コレクションと同時に、驚くべきは現在まで続く鈴木敏夫氏の映画にまつわる1時間の日課である
毎朝のお務めとして契約している多くの映画の専門チャンネルから映画を録画予約し録画番組を編集しBD-Rに焼き付ける作業をしているというのだから驚きである
鈴木敏夫氏の秘蔵コレクション
「ドラゴンズはただひとつ残った僕の名古屋なんです」と語る鈴木敏夫氏。氏とドラゴンズとの結びつきはとにかく強いことがによる新展示「ドラゴンズコーナー」からびんびん伝わってきます
ドラゴンズ公式ファンクラブ様に制作された「ガブリ」 その原画の展示、宮崎駿監督との「ガブリ」誕生秘話
落合博満、権藤博、星野仙一、立浪和義各氏らのドラゴンズ関係書籍や、山本昌投手の200勝達成した記念すべきグローブなども展示された
このコーナーは名古屋出身のスタッフの要請で設けられたとのことですが、秘蔵品はもっとあるとのこと
最後の展示:湯屋と不思議な商店街へ
時間の経過とともに変化する明かりと幻想的な湯屋の人影。提灯は名古屋提灯
湯婆婆と銭婆の口の中から札を引く開運・恋愛御神籤も楽しめるコーナーも
じっくり展示を見ると約2時間はかかるでしょう。それほど内容の濃い展覧会になっています