長久手市の友好都市としては、ベルギーのワーテルロー市(海外姉妹都市 1992年提携)、長野県の南木曽町(2006年提携)市はよく知られていますが、あの宝塚歌劇団のある兵庫県の宝塚市ともまた”友好都市”提携(2012年)を結んでいることはあまり知られていないようです
その一方、介助犬の訓練センターがある「シンシアの丘」は長久手市民にも広く知られています
この認知度の落差は、宝塚市との友好都市関係に至る”ストーリー”が提携当初以降それほど共有されていなかった、また特段のイベントも開催されていなかった故かと思われます
当レポートでは、長久手市と宝塚市との友好都市関係を結ぶきっかけになった一頭のラブラドール・レトリバー「シンシア」を通じて、背景にある”ストーリー”をたどりつつ、「シンシアの丘」の見学会の後半部分とをつなげていきます
それでは長久手市と宝塚市を結ぶ「物語」からたどってみましょう

長久手市と宝塚市は、介助犬「シンシア」を通じた
「友好都市」の関係にあります
兵庫県宝塚市は、介助犬発祥の地!
2000年 宝塚市は「シンシアのまち」宣言
「シンシアのまち宝塚」が合言葉
2002年 身体障害者補助犬法が施行
2009年 長久手の地に「シンシアの丘」誕生
2012年 長久手市と宝塚市は、「シンシアの丘」開所を
縁に、”友好都市”として提携

日本唯一の「介助犬専門の総合訓練センター」(2009年開所)がなぜ長久手に誕生したのか?
社会福祉法人日本介助犬協会が、未だボランティア団体(拠点東京八王子市)だった頃は、障がいのある方々を見学に招いたり、一緒にトレーニングしたりすることが難しい環境(ビルの中だった)だったといいます
そこでなんとか活動のしやすい拠点、施設をつくりたいという熱意と行動力で最適な場所を探索されたとのこと
そこで白羽の矢が立ったのが長久手東部の丘陵地でした
[日本介助犬協会が長久手の地を選んだ理由]
❶愛知県が日本のほぼ中央部に位置しているため全国の介助犬のユーザーさんが訓練などに訪れるのに適している。
長久手市に高速道路IC(インターチェンジ)があり東西地域からのアクセス、交通の利便性が良いこと
❷愛知県は日本一飼い犬登録数が多く犬好きが多かったこと
❸市東部が豊な自然環境の中にあって犬も人も心穏やかに暮らせること
❹長久手市が「日本一の福祉のまち」を理念にまちづくりに取り組んでいたこと
▶︎2012年、社会福祉法人日本介助犬協会と長久手市が連携協定を結ぶ
(日本介助犬協会の事業理念や目標と合致)
参照:「NAGAKUTE ZATTO」(2019年秋号 人 健康 福祉)

シンシアの丘の施設の周りにはこれまで縁のあった介助犬やユーザー、サポーターの皆さんの写真を転写したタイルが数百枚、塀にしっかりと埋め込まれています(上の写真はその一部)

左の画像が、宝塚市発行の「ようこそ! 補助犬」ステッカー(2000年から市内の飲食店に掲示依頼)
2003年から身体障害者補助犬法の施行を受け「介助犬」から盲導犬なども含めた「補助犬」に変更、公共施設などにもステッカーの貼り付けが進みました
他に補助犬法の施行を受ける形で、厚生労働省が啓発する補助犬ステッカーが全国でも展開されるようになっています
ここから「シンシアの丘」見学会の後半
犬舎やトレーニング室を見学します!

エントランスでお出迎えする介助犬のぬいぐるみたち
犬舎やトレーニング室に続く通路では、日本介助犬協会が誕生してから今日までの軌跡をパネル資料や写真などを通して見ることができます
月に一度開催される「見学会」(先着順での申込制)の後半では、犬舎やトレーニング室などを見学することができ、実際の様子や訓練センターの環境を直に体感することができます
デジタル上の視覚的情報ではなくなく、こうした見学会の肌感覚の体験こそ、とくに社会性が高まる子供たちにとって最適ではないでしょうか

事務室のすぐ隣にある犬舎

現在、犬舎には最大25頭の犬たちが暮らしています
頭数が少なくなる時は、柵は移動しスペースは広くなります
犬舎はつねに清潔に保たれています
介助犬の多くは「ラブラドール・レトリバー」!


誕生日や両親などすべての犬たち情報が掲げられています
LR(Labrador Retriever)はラブラドール・レトリバーの略。GRはゴールデン・レトリバー
MIXはラブラドール・レトリバーとゴールデン・レトリバーのミックス
介助犬の犬種として、ラブラドール・レトリバーが多いのは知能が高く、性格が温和、人に友好的で人と一緒に作業をするのも大好き、場所を選ばずどこでも寝られ、訓練もしやすい性質であることから、介助犬に最も適性な犬種とされています
他にスタンダード・プードルも介助犬として活動しています
ラブラドール・レトリバーは、優れた能力や人とのフレンドシップが築きやすさ、穏和な性格、従順性が高いことから、介助犬だけでなく、災害救助犬、警察犬、麻薬探知犬としてでも世界中で大活躍しているのはご承知の通りです
社会福祉法人 日本介助犬協会制作動画 – シンシアの丘ツアー~介助犬の訓練をする施設はどんなところ?
外で突然、ネコに会ってびっくりしないように
犬舎では、二匹のネコも一緒に暮らしています!



犬舎のすぐ近くには緑の森に面したトレーニング室があります
犬も一頭一頭に個性があります!
介助犬に適性の高い犬種ラブラドール・レトリバーでも、1頭1頭に異なる個性があり、介助犬になれる子犬は全体の2〜3割とのことです
以下の要素が訓練を通してさらに見極められて行きます
◉攻撃的でないこと
◉過剰な支配的性質がないこと
◉大きな音や環境変化に神経質でなく落ち着けること
◉平均的な触覚、聴覚、感受性を持つこと
◉集中力と積極性、環境への適応力があること
◉乗り物酔いがないこと
適性判断から介助犬にならなかった犬は、「キャリアチェンジ犬」として、広報活動をする「PR犬」や、病院で患者を癒す「DI犬」、子どもの法廷証言などに同伴する「付添犬」など、別の持ち場で活躍します
「シンシアの丘」が「宿泊施設」も備えている理由
再現された日常の暮らしの中で、介助犬を希望する方が
介助犬と一緒に暮らし訓練し息を合わせていきます


訓練室は5部屋あります
ベッド、机、冷蔵庫、さらに洗面台、トイレやお風呂も設置され日々の暮らしに沿った環境で希望者と介助犬が一緒になってトレーニングが行われています
介助を求める側も希望すればすぐマッチングできる訳ではなく、本人の自立への意志に耳を傾け、訓練室を利用したりご自宅での訓練を通し、リハビリ専門職のアドバイスを受けながら「介助犬がどんなサポートができるのか」を一緒に考えていくことになっています
介助犬と一緒に40日間以上の訓練を行うことが法律上必須(実際には40日間では足らず、トータル半年ほどかけて希望者と介助犬の息を合わせていくそうです)となっていて、国の認定試験に合格して初めて介助犬とパートナーになれます


チャリティグッズ・ルーム 写真集やバッグ、Tシャツなど素敵なグッズが取り揃えられています




施設のすぐ近くに建つ「シンシアの丘」から羽ばたいて行った補助犬の慰霊碑(Memorial Munument)
シンシアの骨も分骨されています
年に1回慰霊祭が執り行われています