美大を目指していた高校生の頃、美術研究所ではみな『県芸』と呼んでいたし、 実家から車でも 10 分あれば着いてしまうほど近所で、子供の頃から学園祭など でたびたび訪れていた。だから今でも親しみを込めて『県芸』と呼ぶ。 全国的には『愛知芸大』と呼ぶことが多いが、今回はこの県芸をあちこち 歩き回って気づいたことを書いてみた。
広大な丘陵地を生かし、緑豊かな自然の中に美術学部、音楽学部の建物が キャンパス内に構成されている。建築家、吉村順三による設計でまず キャンパスに足を踏み入れると真っ先に目に飛び込んでくるのがこの講義棟で、 110m ある建物は 1F がピロティになっていて自由に動き回る気持ちの良い空間 で学生達の憩いの場所でもある。
2F は両サイドがガラス張りの廊下で緑に 囲われた景色の中で空中散歩をしているよう。3F が講義室で外壁が白い ルーバーで覆われていて直射日光を和らげ柔らかい光に包まれていてとても 良い室内環境である。
建築家の中でも特に住宅を多く手がけた吉村順三は和の精神を受け継いだモダンなデザインで年月が経つほど深みの増す作品を多く残しているが、その吉村がこの広いランドスケープを生かし多くの建築物を配置している。 チェコ出身のアントニン・レーモンドのもとで学んだモダンデザインと近代建築の巨匠、ル・コルビュジェの影響も多分に見られ、モダニズム建築を象徴する建物でもある。
粘土で製作した作品を石膏で型取り、それをモデルとして石を掘る。最終的に石彫作品としての完成を目指すものである。削られた石くずや埃などかなり廃材が散らかるので屋根付きオープンスペースをアトリエ(作業場)として作られることが多い。
石彫をしている人達は自分の作品を作るにあたってどんな石の材料が作品に 合っているか考えながら作っているもので , 色や肌合いなどの質感、加工の しやすさなど様々な要素を鑑みて時には地方にまで出かけて行って石を調達する のだが、この基本的なところからもう大変なのである。
だからひとつの作品が 完成するまでの時間は大小さまざまなのだが長期戦なのだ。ホントにお疲れ様と 言うしかない。
粘土で製作した作品を石膏で型取り、それを参考ベースとして石を掘る。最終的に石彫作品としての完成を目指すものである。汚れや埃などかなり廃材が散らかるので屋根付きオープンスペースにアトリエ(作業場)として作られることが多いのだがこうやって作品は完成されていく。