長久手市庁舎の移転計画はコストの上昇をふまえ今年春に見送られましたが、首都機能の移転計画は水面下で段階をおって準備されていると言われています。
現在、「遷都」というワードじたいは用いられていませんが、首都機能が一極集中しすぎる東京が、万が一、大災害・大災難にみまわれることがあれば、政府・官庁のデータのバックアップ機能がインストールされた「吉備高原都市」が、たちどころに首都となるのではと想像されます
じつは愛知県も10年程前には、「岐阜愛知新首都構想」として首都移転先の有力な候補地としてあげられていましたが急速に萎んでいった過去があります。21世紀に入り、西日本の筑波研究学園都市を目指した岡山の「吉備高原都市」構想が頓挫し、山地に広大な開発エリアが残された状態だったとのこと。2010年代初頭、研究学園都市から急展開し、首都機能移転構想へとベクトルが大きく動いていきました
「岐阜愛知新首都構想」他をうっちゃった「岡山首都構想」の優位性はどこにあったか
「岡山 吉備高原都市」とはどんなところでしょう。現地の様子を少しばかりお伝えできればと思います
上空からの吉備高原都市を望む 画像(topページの画像を含む):「吉備中央町 首都移転構想サイト」より
吉備高原都市がある吉備中央町は、標高120~500mの高原地帯に広がる岡山県のほぼ中央部に位置
吉備高原都市は、標高350〜400mと町内でも比較的高い場所にある
地質学的にも花崗岩の上にあり地盤が安定し、活断層がなく歴史的にも災害が極めて少ない地勢となっている
3,400年前から地震や火山活動がなく地盤の変動がない。夏場も高原特有の冷涼な気温が多く、年間を通しても気温が安定
「首都岡山」の実現に向け吉備中央町役場に懸垂幕がかかった(2024年4月)/ 吉備中央町役場
吉備中央町の総人口は約11,000人、総世帯数5,300世帯(令和3年度)
画像:RSK山陽放送サイト「首都機能の一部を災害の少ない吉備高原に」より
KSB瀬戸内海放送(2020年放送)
■交通アクセス
岡山桃太郎空港より約20分(約16km)
JR岡山駅から約45分(40km)
中国横断自動車道の賀陽ICから車で15分、山陽自動車道・岡山I Cから車で約40分
すでにバックアップ・データセンターは稼働中
自然災害が少ない岡山・吉備高原都市で完成している日立のクラウド・データセンターと新データセンター
岡山・第3センタは、2012年にすでに完成していた。東京の官庁のデータシステムも日立が担っている
画像:HITACHIニュースリリース「日立データセンターの西日本における最大拠点、「岡山第3センタ」を開設より
首都機能移転論議の経緯(国土交通省)
「首相の諮問機関である「国会等移転審議会」が移転の候補地として、(1)宮城地域、(2)福島地域、(3)栃木地域、(4)栃木・福島地域、(5)茨城地域、(6)岐阜・愛知地域、(7)静岡・愛知地域、(8)三重地域、(9)畿央地域、(10)三重・畿央地域の10地域をあげていましたが、容易には優劣がつけがたかったと思います。
しかし、12月20日に候補地を、(4)の「栃木・福島地域」と(6)の「岐阜・愛知地域」に決定し、(10)の「三重・畿央地域」は高速交通網の整備などを条件に、将来候補地となる可能性があるとして、準候補地扱いにしました」(以下に続く)
1996年当時、東日本大震災は起こっていませんので、宮城地域、福島地域、また東海原発に近い茨城地域も候補にあがっていました。また南海トラフ地震の被害予測もまだなされていない時期で、太平洋に面した静岡・愛知地域、三重地域も候補地の一つにあげられていました。
「首都機能移転の議論は、バブルによって東京の地価が高騰したことが拍車をかけ、1990年に衆参両院が国会移転を決議しています。
そして、96年には移転先の選定を明記した国会等移転法も生まれております。具体的には、国会、行政、司法の中枢機能を東京圏外に移すことが定められていますが、皇居は移さないので遷都という表現はしていません。
国会等移転調査会及び国会等移転審議会は、新首都のイメージとして、東京から約60~300キロに位置し、面積は最大8500ヘクタール、人口は最大56万人としました。移転に必要な費用は、公的負担が4兆4千億円、民間投資が7兆9千億円の計12兆3千億円となっています」
以上(国土交通省サイトより)
岐阜愛知新首都構想は2016年に活動休止へ
1999年の国会等移転審議会においては、最終的に上記の3候補に絞り込まれ一時的に活発な議論も行われ、岐阜・愛知地域も「東京から東濃へ」の掛け声で推進運動がなされてきた歴史があります。リニア中央新幹線の中津川駅計画も、東濃地域への首都移転の構想のうちにありました
ただ当時、巨額の移転費用に慎重論が相次ぐうちに審議会事務局も休眠状態になったとされます。
参照→「岐阜愛知新都市構想」Wikipedeia
「岐阜愛知新首都推進協議会」サイト:「新しい日本の首都構想」
「産経新聞 夕刊」2019.07.23
大手メディアでは首都移転の候補地の岡山のことはほとんどと言っていいほど取り上げていないようでうす
地元メディア以外、上記掲載の様に大手メディアでも夕刊紙であったりTBS BSニュースでは取り上げた過去もありますが、特にここ数年は符牒を合わせたようにあえて取り上げないスタンスにあるようです
国会議員の多くはこうした動きはかなり前から把握している方がおられるようです